マイルチャンピオンシップ個別分析第4弾はマルターズアポジー。ラップ予想派としては避けて通ることのできない、逃げ馬の分析となります。
ゴスホークケン×マルターズヒートという、馬主ゆかりの重賞馬同士からこのような強い馬が出るのはロマンを感じますね。しかもデビューから一度もハナを譲っていない個性派ですし、昨今の乗り替わりラッシュの中、武士沢騎手をメインで起用し続けているのもいいですよね。
マイルは条件戦時代から走っていましたが、オープンに入ってからは中距離メインで使われてきました。それが関屋記念でマイルを使うと見事な逃げ切り。これでマイルチャンピオンシップに照準を絞ってきました。
どのように逃げたいかをしっかりと考察したいと思います!
それでは、マルターズアポジーの近3走ラップ、好走時ラップ、マイルチャンピオンシップにむけてのポイントです。
近3走ラップ
年月日 | レース名 | コース | 距離 | 人気 | 着順 | 最速 地点 |
最高 速度 |
失速 度合 |
2017/09/10 | 京成杯AH | 中山 | 1600 | 2 | 4 | L4 | 高速 | 超持続 |
2017/08/13 | 関屋記念 | 新潟 | 1600 | 7 | 1 | L2 | 高速 | 超失速 |
2017/07/09 | 七夕賞 | 福島 | 2000 | 2 | 11 | L4 | 低速 | 超失速 |
京成杯AHはトップハンデを背負い、45.8-45.8と平均ペースの中で最後に苦しくなり4着。上がり4ハロンは11.3-11.5-11.6-11.4となっていますが、L1は勝ったグランシルクのものと考えると、この馬自身のラストは12.0。緩めずに仕掛けどころを作らずに減速していったという競馬です。
関屋記念は46.6-45.6とややスローのバランスにまとめて見事な逃げ切り。11.3-11.1-11.0-12.1というラスト4ハロンになっていますが、特筆すべきはL2地点で急加速になっていないこと。新潟はその直線の長さから、L2地点で一気に加速してラスト落ち込むという流れが大半ですが、マルターズアポジーはL4からL2まで明確な仕掛けどころを作らないような逃げを打っています。これがこの馬の武器で、早めからスピードを放出して後続の脚を溜めないようにして、ラストはL2までで作ったリードを使って粘りこむ形の逃げが向いています。
七夕賞は58.0-60.2のハイペース。ロングスパートで後続の脚を削ぐ形がいいのですが、全体のペースは平均からややスローがよく、ハイペースだと自信が息切れしてしまっています。後述する小倉大賞典ではハイペースから圧巻の競馬でしたが、2000だと距離の問題もありそうです。
好走時ラップ
年月日 | レース名 | コース | 距離 | 人気 | 着順 | 最速 地点 |
最高 速度 |
失速 度合 |
17/08/13 | 関屋記念 | 新潟 | 1600 | 7 | 1 | L2 | 高速 | 超失速 |
17/02/19 | 小倉大賞典 | 小倉 | 1800 | 4 | 1 | L4 | 低速 | 超失速 |
16/11/13 | 福島記念 | 福島 | 2000 | 7 | 1 | L2 | 低速 | 超失速 |
小倉大賞典は57.6-48.2とハイペース。2ハロン目から5ハロン目まで11秒台前半を刻み、ラストは11.7-11.7-11.9-12.9。これで2馬身ちぎったのですから、たいしたものです。ラストはかなりスピードを落としているように、この逃げの形だと距離はギリギリですが、1周戦ならばこれくらい前半から飛ばしてコーナーでのスピードを活かした方がよさそうです。
福島記念は一転、61.0-59.8のスロー。やはり2000だと前半の入りは抑えて入った方がスタミナ面からよさそう。時計のかかる馬場でしたが、11.8-11.6-11.5-12.8とやはりロングスパートで後続の脚をなし崩し的に使わせて、最後は貯金を活かす形です。
捕捉でもう一つ1600万勝ちの秋風Sも。これは今回出走するグランシルク・ダノンメジャーに勝ったレースです。47.2-46.4と若干のスローで、11.5-11.3-11.6-12.0の上がり。京成杯AHと比較すると、少し時計のかかる馬場でわずかにスローで逃げたうえで、早めに脚を放出する形がマイルだとベストです。
マイルチャンピオンシップにむけたポイント
現状評価:◎~△(馬場、人気次第)
ゲートが抜群にいい馬で、よほどのアクシデントがない限りはハナはとれるでしょう。
京成杯AHではトップハンデながらも強気に逃げたように、武士沢騎手もこの馬の特性を把握して乗っているところに好感が持てます。
中山コースは2ハロン目から下りがしばらく続くため、どうしてもスローでは逃げづらい条件。一方、京都は4ハロン目に上り坂があるため、ハナを簡単にとれればそれに備えてペースを少し落としてもつっかけられることはなさそうです。
よって、序盤はなるべく我慢し、坂を上りきったところからコーナーにかけて自慢の機動力を活かしてロングスパートをかければ自身の理想の流れは作りやすいです。
後は力関係だけですが、関屋記念はなかなか優秀な競馬でしたし、ロングスパートに持ち込めればイスラボニータ・サトノアラジンといったどこかでギアチェンジをしたい馬たちは封じ込めることができるはず。
エアスピネルは持続力勝負に持ち込んだ時の強敵ではありますが、先週内有利だった馬場に変化がなければ(コースは今週からCコース替わりです)、逃げ切りのチャンスも十分あると現時点では考えています。