2018京都記念有力馬分析その1(短評付き)

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 G1では毎度有力馬の個別分析を書いていますが、これからはG2,G3でも有力馬についての分析を書いていきたいと思います!

 ただし、各馬の分量を多く書くと、作業量と時間が釣り合わなくなってしまう現状ですので、有力馬を何頭かピックアップして、それらについて少しずつ触れていく形を取ります。この辺は試行錯誤しながらやっていこうと思いますので、もしかしたらG1のように個別分析の形で書いていくことになるかもしれません。

 しばらくは、試験的に1重賞ごとに1~2記事という形でやっていこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今回は京都記念の有力馬分析。

 注目の4歳世代からまずは、アルアインクリンチャーレイデオロの牡馬3頭を取り上げます。

 G1馬4頭に菊花賞2着馬と前哨戦とは思えない豪華メンバーですが、どの馬が今年の好スタートを切るでしょうか!?

アルアイン

近3走は例外的なレースばかり。コーナーから速くなる競馬なら能力最上位だが。

近3走ラップ

年月日 レース名 コース 距離 人気 着順 最速
地点
最高
速度
失速
度合
17/10/22 菊花賞 京都 3000 2 7 L2 超低速 超失速
17/09/18 セントライト記念 中山 2200 1 2 L1 高速 超持続
17/05/28 日本ダービー 東京 2400 4 5 L2 超高速 持続

(菊花賞は不良)

 クラシック路線の近3走はいずれも再現性に乏しいレースばかりです。

 菊花賞は競馬史に残るレベルの不良馬場。勝ちタイム3:18.9は今後見ることはできないレベルの超低速決着でした。

 バランスだけなら前半と後半の1000mが速めで、中盤1000mが緩んでいる例年通りのものでしたが、64.1-68.8-66.0とすべての区間が例年より4秒~5秒遅くなっています。

 このレースは重馬場適性の有無だけが今後の参考になるレベルですので、気にしすぎない方がいいでしょう。

 アルアインは重馬場で1勝をあげていますが(16千両賞)、時計的には48.7-47.8と時計のかかる良馬場くらいの重さでしかなかったです。シンザン記念・菊花賞の結果から、泥んこ馬場ではイマイチでしょう。

 セントライト記念も変なペースの競馬。61.8-24.9-46.0なのでスローなのですが、想像以上の馬場の軽さで仕掛けどころがおかしくなり、12.0-11.7-11.3-11.0ゴールまで加速し続ける上がりになっています。

 持続力が全く必要のない、トップスピードの高さだけを問われた競馬。瞬発力特化型のミッキースワロー(AJCCでは長い脚を使ったように成長していますが)には完敗でしたが、一応の格好はみせた競馬でした。

 ダービーは超スローペース。平成のダービーで1マイル通過が1分40秒を超えたのが、タヤスツヨシ・エイシンフラッシュ・レイデオロの3回のみで、レースの上がり3ハロンが33秒台になったのもエイシンフラッシュ・レイデオロの2回だけ。めったにお目にかかれないレベルのスローでした。

 先行できるので大崩れこそしませんでしたが、やはり瞬発力勝負では劣る面があります。

 重賞2勝の皐月賞・毎日杯はともにL3高速戦。直線に入る前からスパートが始まるレースがベストです。向正面から速くなるようなコテコテのロングスパート戦の経験はありませんが、好走レースでは最高速度もそれなりのものを見せていますから、トップスピードの高さ・持続力をバランスよく兼ね備えている万能型でしょう。

 この手のタイプは大崩れは少ないものの、勝ち切るには最高速・持続力をともに問われるレースになってほしいため、流れが向いてくれるのを待つか自力でコーナーから仕掛けていく必要がありそうです。

 今年の京都記念は少頭数でスロー濃厚なので、自力でコーナーから動いていけば面白そうですが、流れに合わせる形だと馬券圏内には入るけど少し足りないという結果になりそうです。

クリンチャー

スピードはないがとにかくタフ。自らレースを動かしたい。

近3走ラップ

年月日 レース名 コース 距離 人気 着順 最速
地点
最高
速度
失速
度合
17/10/22 菊花賞 京都 3000 10 2 L2 超低速 超失速
17/09/18 セントライト記念 中山 2200 4 9 L1 高速 超持続
17/05/28 日本ダービー 東京 2400 9 13 L2 超高速 持続

(菊花賞は不良)

 アルアインと近3走はすべて同じレースに出走していますね。

 アルアインに唯一先着したのが菊花賞。泥んこ馬場の中、向正面からまくっていってギリギリまでよく粘りました。

 後述しますが、オープンクラスでは逃げてレースを作れるテンの速さがないので、これからはこの形を追求していくことになるでしょう。

 セントライト記念はなんとか先行集団には取りつきましたが、完全に直線でのスピード負け。自身の上がり3ハロンが34.8でしたが、これは15頭中12番目のもの。500万勝ち直後の馬も多かったレースでの平凡な上がりですから、トップスピードの高さだけでいえばオープンクラスではかなり弱いです。

 ダービーは結果的に戦犯のような扱いになってしまいましたが、改めて振り返ると仕方ないといえるところもあります(私も◎だったので、レース直後はガッカリでしたが)。

 まず、先行馬としてはテンの速さがなさすぎます。皐月賞では外枠だったのでリカバリーが利きましたが、ダービーは先行馬に内外囲まれた枠順で、最序盤のポジションが取れなくなってしまいました。

 ならば、まくっていけばということになりますが、前半からからり遅くなって馬群が詰まったので内枠では動きようがないポジションにはまってしまいました。最序盤の段階で次の手を早めに考えていれば・・・とは思いますが、騎手だけではなく馬の資質にも問題はあったと思います。

 今回は少頭数なのがプラス要素。プリメラアスールがハナを主張するでしょうから、逃げることは難しいですが、リカバリーが利きやすい頭数です。

 トップスピードはまるで足りないので(全2勝はどちらも低速戦)、坂の上りから動いていくくらいの積極策で、トップスピードのなさをカバーするレースが必要となります。

 スピードはありませんが、低速域での持続力は現役でも屈指のレベルにあるので、レースの流れを無視するくらいの気概でレースができればチャンスはありそう。

 基本はスローだと考えているので馬券からは外すと思いますが、雨の影響が強く残ればヒモ候補。

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レイデオロ

秋2戦を素直に評価。総合力高く先行すれば馬券圏内は堅いか。

近3走ラップ

年月日 レース名 コース 距離 人気 着順 最速
地点
最高
速度
失速
度合
17/11/26 ジャパンカップ 東京 2400 2 2 L3 高速 失速
17/09/24 神戸新聞杯 阪神 2400 1 1 L3 高速 持続
17/05/28 日本ダービー 東京 2400 2 1 L2 超高速 持続

(すべて良馬場)

 ダービー勝利後はそこまで評価していませんでしたが、神戸新聞杯が完勝でジャパンカップもキタサンブラックを撃破。粒ぞろいの4歳世代の代表として胸を張れる成長を遂げています。

 まずは、ダービーから振り返ります。アルアイン・クリンチャーの項でも触れましたが歴史的なスローペース。序盤は後方でしたが向正面でまくって2番手を取り、そこで直線まで我慢してから末脚発揮という形でした。

 レースの流れが特殊で道中の負荷が極めて軽いレースだったので、この時点では強く評価しづらいものがありました。向正面で早めに進出しながらも、2番手で我慢が利いて直線で末脚を使えたように、操縦性の高さ競馬センスといった副次的な能力は素晴らしかったですが。

 お前見る目が無いな、と強烈なしっぺ返しをくらったのが神戸新聞杯。61.4-24.6-58.6とバランスはスローですが、11.9-11.3-11.4-11.8とL3高速持続戦。トップスピードの高さと持続力の両方を問われたレースでしたが、先行してキセキを全く寄せ付けない完勝。

 この時点でキセキは末脚だけなら非常に高いレベルのパフォーマンスを発揮していたので、それを相手に余裕のレースを見せたのは驚きました。負荷の軽い上がりだけの競馬だったダービー、序盤で後手を踏んで巻き返し切れなかった皐月賞からの変化は大きく、成長を感じさせる内容でした。

 ジャパンカップではその成長ぶりが本物であることを証明してみせました。ポジションは後ろになってしまいましたが、インから上手く立ち回って見せ11.8-11.3-11.8-12.0のL3高速失速戦で2着。完璧にハマったシュヴァルグランには及びませんでしたが、レースを支配したかにみえたキタサンブラックを捕らえ、4着以降には決定的な差をつけています。

 60.2-24.4-59.1のバランスで、神戸新聞杯よりは前後半がフラットに。神戸新聞杯では先行しましたが、ジャパンカップでは中団やや後ろからの競馬だったので、自身のバランスは似たようなものですね。前半で無理をしすぎなければ、トップスピードの質は非常に高いです。

 今年の中心的な存在になるのは間違いありませんが、気になるのは最序盤のポジション取り。神戸新聞杯は先行できましたが、ゲートが上手ではないので動きやすいポジションを確保しないと後半の総合力の高さを活かしきれないシーンは出てきそう。

 今年の京都記念は少頭数なのでリカバリーは利きやすいと思いますが、これまで全レースで手綱を取っているルメール騎手が騎乗停止でバルジュー騎手に乗り替わり。バルジュー騎手どうこうという話ではなく、序盤の遅れを取り返していく必要性が強くわかっている主戦騎手でないと不安が残ります。

 同じ総合力タイプのアルアインとの差はトップスピードの高さで、こちらの方が最高速は上。スローになりそうな今年の京都記念では優位に立てるはずですが、じっくり構えすぎた時に取りこぼすかもしれません。

 普通に仕上がっていれば軸としての信頼度は高いです(京都記念は実績上位馬が取りこぼしやすい=仕上げが甘い可能性が怖い・・・)。

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