ジャパンカップ出走馬個別分析第1弾はやはりこの馬。歴代記録と並ぶJRAG1・7勝のかかった現役最強馬キタサンブラックです。
雨中の決戦となった天皇賞秋を劇的な展開で勝利し、歴史的名馬になったキタサンブラック。残る現役生活も残り2戦となったわけですが、さらなる勲章を得て花道を自らの手で飾ることができるでしょうか!?
それでは、キタサンブラックの近3走ラップ、好走時ラップ、ジャパンカップにむけてのポイントです。
近3走ラップ
年月日 | レース名 | コース | 距離 | 人気 | 着順 | 最速 地点 |
最高 速度 |
失速 度合 |
17/10/29 | 天皇賞秋 | 東京 | 2000 | 1 | 1 | L3 | 超低速 | 超失速 |
17/06/25 | 宝塚記念 | 阪神 | 2200 | 1 | 9 | L3 | 低速 | 持続 |
17/04/30 | 天皇賞春 | 京都 | 3200 | 1 | 1 | L3 | 低速 | 失速 |
(天皇賞秋は不良、宝塚記念は稍重)
天皇賞秋は馬場があまりにも悪かったため、ラップ的には振り返る必要があまりないレース。あの馬場でも勝ってしまうキタサンブラックの凄さには敬意を表します。
宝塚記念は今年唯一の凡走となったレース。上がり4ハロンでみるとL3最速戦ですが、全体ラップを見ると1・2コーナーで一度緩んでから後はひたすら11秒後半が続く超ロングスパート戦。11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2と低速区間が5ハロンも続く超持久力戦でした。キタサンブラック自体、3ハロン~4ハロンの持続戦は難なくこなしていますが、これだけのロングスパート戦はある意味天皇賞秋の極悪馬場条件と同じくらいレアなケース。このパターンだと厳しいかもしれませんが、あまり再現性のないレースではあります。
また、キタサンブラックは3歳秋以降、半期に3回出走を続けていますが、初戦まずまず→2戦目完勝→3戦目敗戦というリズムを続けています。3戦目にきているのがグランプリレースである宝塚記念と有馬記念。ローテーションの問題なのか、グランプリのラップ適性によるものなのか、これは有馬記念の出走馬分析で深く考察していきます。ジャパンカップに関しては2戦目は好内容のレースが多いため、ローテの問題はなさそう。
天皇賞春は2連覇となったレース。京都コースは結局無敗だったので、一番向いているコースといえます。前半はヤマカツライデンが単騎で引っ張る流れでしたが、後半はキタサンブラックが支配した流れ。12.2-11.6-11.7-12.2というL3低速失速戦となっており、坂を下ってから600mのスパートをかけて後続を寄せ付けずレコード勝ち。速い馬場も問題としませんでしたし、武豊騎手もこの馬の特性をばっちり把握しているので、見事な早めスパートだったといえます。
好走時ラップ
年月日 | レース名 | コース | 距離 | 人気 | 着順 | 最速 地点 |
最高 速度 |
失速 度合 |
17/04/02 | 大阪杯 | 阪神 | 2000 | 1 | 1 | L2 | 低速 | 持続 |
16/12/25 | 有馬記念 | 中山 | 2500 | 2 | 2 | L4 | 低速 | 持続 |
16/11/27 | ジャパンカップ | 東京 | 2400 | 1 | 1 | L3 | 高速 | 失速 |
大阪杯も強い内容でした。11.8-11.7-11.6-12.0と低速のロングスパート気味のレースですが、キタサンブラック自体はL3地点から動き出し、後続に適度に脚を使わせながらも楽に逃げるマルターズアポジーを交わし、うまく乗ったステファノスも寄せ付けませんでした。L3勝負に持ち込めると非常に強い馬で、武豊騎手もそのことをはっきり理解したレース運びをしています。鞍上が適性を把握し、それにきっちり応えることのできる操縦性の良さもあります。
16有馬記念は惜しい競馬でしたが、サトノダイヤモンドに惜敗。これは宝塚記念に近い、超ロングスパートレース。L4最速戦ですが、実際にはL5地点から11秒台に突入しており、ゴールまで1000mの間12秒前後の脚を要求されました。決して崩れていないので対応はできていますが、勝ちパターンではないといえます。
そして、昨年のジャパンカップ。当日は雨も降り、馬場発表以上に重い馬場でした。序盤はほかに逃げる馬がいないとみるやいなや、スッとハナを取りスローペースに落とし込みます。スパートは例の如くL3地点。11.9-11.2-11.4-12.1と直線の入り口でトップスピードに持っていき、後続の脚を削ぎ切って完勝。レース映像を見るとわかるのですが、後続もスパートに対応して直線半ばまではあまり差がなかったのですが、ラストの失速地点で他馬との失速度合が大きく異なりました。徐々に脱落していく後続を尻目に最後までしっかり脚を使っているのが印象的なレースです。
ジャパンカップにむけたポイント
現状評価:◯~▲
L3高速失速戦の多いジャパンカップの特性を考えると、まず凡走はないだろうと思います。
天皇賞秋の負担については、はっきり言ってわかりません。調教派やパドック・返し馬派の方にそこはお任せします。
じゃあなんで現状評価で◎がないの?となりますが、これは単純にオッズの問題。おそらく1倍台後半から2倍台前半となるはずで、状態面で不明な点があるのだったら、他に適性がある馬を探してそちらから入りたいというのが、期待値を上げるための発想だと信じての評価になっています。
決して消すつもりはありませんし、よっぽどのことがない(適性がドンピシャな馬が他に複数いるとか)限りは対抗評価にはなると思います。ラップ適性は花丸をつけられます。