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有馬記念の出走馬分析第1弾はもちろんこの馬、キタサンブラックです!
前走ジャパンカップでは2頭の末脚に屈しましたが、この馬自身も力を発揮した好レースで3着。今年は引退レースとなる有馬記念に全力投球の節が、陣営のコメントからも伺えますのでまだまだ力を温存していることでしょう。
ここで勝てば自ら有終の美を飾るとともに、史上最多タイのG1・7勝の金字塔を打ち立てることになります。殿堂入りも見えてくるでしょうし、最後のレースですが絶対に落とせない1戦となりそうです。
それでは、キタサンブラックの近3走ラップ、好走時ラップ、有馬記念にむけてのポイントです。
近3走ラップ
年月日 | レース名 | コース | 距離 | 人気 | 着順 | 最速 地点 |
最高 速度 |
失速 度合 |
17/11/26 | ジャパンカップ | 東京 | 2400 | 1 | 3 | L3 | 高速 | 失速 |
17/10/29 | 天皇賞秋 | 東京 | 2000 | 1 | 1 | L3 | 超低速 | 超失速 |
17/06/25 | 宝塚記念 | 阪神 | 2200 | 1 | 9 | L3 | 低速 | 持続 |
(宝塚記念は稍重、天皇賞秋は不良)
ジャパンカップはこの馬のレースはしっかりとできたと思います。天皇賞秋から不安視されたスタートを難なくこなし、他馬の動向を伺ってからハナへ立つ動きは昨年のジャパンカップと同じ。昨年はペースを落として進みましたが、今年は12秒前後のペースを刻むミドルペースで淡々とレースを引っ張りました。L3最速も昨年と同じで、直線入り口からの早めスパートで後続を引き離しにかかりますが、内をロスなく立ち回ったシュヴァルグランとレイデオロだけは余力が残っていました。キタサンブラック自体も大きく失速はしなかったですが、2頭に交わされ3着という結果に。
昨年のジャパンカップと比較すると、今年の方が前半1000mが1.5秒速く上がり3ハロンは0.6秒かかる結果に。走破タイムは2秒ほど違いますので、中盤も今年の方がかなり速かったです。もちろん馬場差もありますが、競馬としては昨年以上に厳しいレースを演出して4着以降は4馬身差という決定的な差をつけました。1枠2頭にやられてはしまいましたが、内容に衰えは全く感じさせず、枠順のあやで負けてしまったとみていいでしょう。
天皇賞秋は極悪馬場なので参考外。
宝塚記念は2年ぶりの着外となる競馬でしたので、これはしっかりと振り返っておきます。シュヴァルグランが奇襲戦法の逃げをうち、これを2番手でマークする形。しかし、ペースが非常に特殊なレースとなってしまいます。1・2コーナーで一度緩んだ後、ひたすら11秒後半が続く超ロングスパート戦。11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2と低速区間が5ハロンも続く超持久力戦でした。直線では早くも手ごたえがなく、ジョッキーも無理せずにゴールまで流した形となったため、着順としては9着という大敗になってしまいました。
キタサンブラックは基本的には、瞬間の切れよりも3~4ハロンのトップスピード戦に持ち込むことで良さが出ています。前半から中盤まではスロー気味で淡々と進め、残り3ハロンが最速となるような早めのスパートをかけ、後続の切れを削ぐ形でタイトルを勝ち取ってきました。宝塚記念の場合は道中で緩めることができなかったため、持ち味の早めのスピード勝負に持ち込めなかったのが痛かったです。それでも、菊花賞ではL7地点から11秒台に突入するレースで勝っていますし(これは中団で控えていたのが大きかったという側面もあります)、宝塚記念のペースでも結果ほど大負けするような馬ではありません。
そういった意味では、3歳秋から半期に3回出走をするローテを続けている中で、初戦まずまず→2戦目完勝→3戦目敗戦というリズムがあるので、3戦目に不安があるという状態面の問題もあったと思います。
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好走時ラップ
年月日 | レース名 | コース | 距離 | 人気 | 着順 | 最速 地点 |
最高 速度 |
失速 度合 |
17/04/02 | 大阪杯 | 阪神 | 2000 | 1 | 1 | L2 | 低速 | 持続 |
16/12/25 | 有馬記念 | 中山 | 2500 | 2 | 2 | L4 | 低速 | 持続 |
16/11/27 | ジャパンカップ | 東京 | 2400 | 1 | 1 | L3 | 高速 | 失速 |
大阪杯はL2最速戦ではありますが、マルターズアポジーの単騎逃げを捕まえにいったのがL3地点。ここから速い脚を使い、最後まで止まらずに後続の追撃をおさえました。
16ジャパンカップもL3地点で速い脚を使って後続を完全に封じ込めたように、L3最速戦の形を自ら作れば非常に強いです。
昨年の有馬記念は、有馬記念らしいL5地点からのロングスパート戦。マルターズアポジーの動きを見つつ、サトノダイヤモンドのラビット的な役割を果たしたサトノノブレスも気にしながらの競馬。直線での再加速にも対応しましたし、一旦迫られたゴールドアクターを再度突き放したように長く脚は使えましたが、サトノダイヤモンドには屈しました。
色々と厳しい要素があった中での2着は立派な競馬でしたが、やはりこの馬の持ち味が最大限活きる競馬にはならなかったかな、と思います。もう少しゆったりと進めて3,4コーナーからの勝負に持ち込みたいです。
有馬記念にむけたポイント
現状評価:◯~△
舞台設定はベストとは言えません。どうしてもL5地点である向正面の下り坂からペースが上がりやすくなるので、小回りコースならコーナーからの勝負に持ち込みたいキタサンブラックにとっては微妙。自ら逃げて後続をけん制しながらコーナー勝負に持ちこめれば勝機は見いだせると思いますが。
ローテの問題も気にはなります。3戦目に勝っていないというのは事実で、今年の宝塚記念の大敗からも、適性うんぬん以上に3戦目だと余力が残っていないのではという疑問はあります。
まあ、2戦目ではいつも強い競馬をしていましたが今秋は2戦目のジャパンカップで負けてしまったので、陣営も3戦目の有馬記念まで余力を残した調整をしている可能性はありますが。
おそらく天皇賞はスピードが出ない馬場だったので、スタミナ的にはきつい競馬でしたがダメージは小さかったと思います。ただ、ジャパンカップは勝った前年より速いペースを刻みながら、上がりもほぼ同等の数字を残したので、ここで走りすぎているかもしれません。
調教派ではないので、ここはわからないというしかありませんが、不安点としてはしっかりと把握しておきたいところ。
ここまでマイナス面を書きましたが、今年は自ら逃げられそうというのはプラス。ペースが上がりやすい向正面で我慢できれば、勝ちパターンの3ハロン勝負に持ち込めるかもしれません。コースの設計上は向正面で抑えるのは難しいと思いますが、そこは天才・武豊騎手の巧みな手綱さばきに注目です。
本命にはしないですが、消せる馬でもないので馬券的にはキタサンブラックを上手く買えるかがポイントになりそうですね。