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有馬記念個別分析の第3回になります。
本日月曜は今年G1を勝っている3頭を取り上げます。そのラストとして、ジャパンカップで悲願のG1制覇を成し遂げたシュヴァルグランを分析していきます。
ジャパンカップは最内をロスなく回れたとはいえ、今まで届かなかったキタサンブラックをついに捉えました。ハーツクライ産駒らしく古馬になってからも成長を続けている印象もあり、力をつけた今、G1連勝でキタサンブラックに引導を渡し、シュヴァルグラン時代の始まりを築くことができるでしょうか!?
それでは、シュヴァルグランの近3走ラップ、好走時ラップ、有馬記念にむけてのポイントです。
近3走ラップ
年月日 | レース名 | コース | 距離 | 人気 | 着順 | 最速 地点 |
最高 速度 |
失速 度合 |
17/11/26 | ジャパンカップ | 東京 | 2400 | 5 | 1 | L3 | 高速 | 失速 |
17/10/09 | 京都大賞典 | 京都 | 2400 | 1 | 3 | L2 | 高速 | 超持続 |
17/06/25 | 宝塚記念 | 阪神 | 2200 | 6 | 8 | L3 | 低速 | 持続 |
(宝塚記念は稍重)
ジャパンカップではスタートを決め、すぐ外の逃げ候補キタサンブラックとギニョールを行かせて3列目の内に。4コーナーまでその位置をしっかり確保して息をひそめます。直線では2列目につけていたギニョールとディサイファの間をつく形でキタサンブラックに迫りました。残り400までは狭いところを突いたこともあり差は詰まりませんでしたが、そこからジワジワとキタサンとの差を縮めると、残り200からの我慢比べでキタサンを競り落とし、外から伸びてくるレイデオロの追撃をしのぎ切って悲願のG1タイトルを獲得しました。
まずは好枠からスタートを決められたのが大きかったです。直線の進路も少し狭いながらもなんとか確保できましたし、好騎乗が光る1戦でした。上がりは11.8-11.3-11.8-12.0でしたが、直線の入り口から上り坂までのL3地点(最速地点)では、キタサンと脚が一緒。しかし、そこからの失速度合がキタサンより少なくL1地点で差し切ったという内容。瞬間の反応はキタサンブラックが勝りますが、持続力で差し切った形でした。
京都大賞典は騎乗の粗さが目についたレース。スタートは普通に出たものの、好スタートを切った内外の馬に挟まれる形で後方に下げさせられます。道中は後方2番手で進め、京都の坂の上りからまくっていきます。下り坂でさらに勢いをつけ、直線入り口では大外の4,5番手のポジションに。そこからも止まらずに脚は使えていましたが、内で我慢していたスマートレイアーの切れ味に屈し、トーセンバジルにも届かない形での3着となりました。
前半は59.9と割と流れましたが、スタートの不利もありかなり縦長の後方2番手だったので、この馬自体はだいぶ楽に追走する形になってしまいました。上がりは11.7-11.5-11.4-11.5とL2がわずかに速い4ハロン持続戦。この馬自身はL4地点より少し前から進出を開始したので、かなり長い脚を使ってはいます。中間速の持続力については文句なしの資質をみせましたが、勝負としてはかなり大味なものになってしまったせいで3着にとどまったという印象です。
宝塚記念はまさかの逃げ。この馬の持続力を活かす作戦としては悪くなかったとは思いますが、さすがにロングスパートのタイミングが早すぎました。60.6の前半から11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2と6ハロン勝負ではさすがに苦しかったようで、直線入り口では早くも後続に飲み込まれました。
低速の持続力に非常に優れているサトノクラウンと違い、この馬はもう少し速いスピード、11.5秒前後の中間速を3~4ハロン続けられるのが武器です。対キタサンでは瞬間の加速力で劣るので、キタサンより前につけて先に動き出すという考え自体はよかったと思いますが、結果的にはキタサンを沈めて自分も沈む共倒れになってしまいました。
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好走時ラップ
年月日 | レース名 | コース | 距離 | 人気 | 着順 | 最速 地点 |
最高 速度 |
失速 度合 |
17/04/30 | 天皇賞春 | 京都 | 3200 | 4 | 2 | L3 | 低速 | 失速 |
17/03/19 | 阪神大賞典 | 阪神 | 3000 | 2 | 2 | L3 | 低速 | 失速 |
16/11/06 | アルゼンチン共和国杯 | 東京 | 2500 | 2 | 1 | L2 | 高速 | 持続 |
天皇賞春はキタサンを徹底マークする形で、キタサンの動きに合わせて外から一緒に仕掛けていきましたが、やはり勝負の瞬間の反応が少し劣り、差を詰め切ることができませんでした。
しかし、後述の阪神大賞典で負かされたサトノダイヤモンドの追撃は振り切りました。これは直線が平坦だったことも影響していそうです。
その阪神大賞典は中団からサトノダイヤモンドより先に動いていき、直線では早くも先頭に立ちますが、相手はこれだけと定めていたかのようなサトノダイヤモンドに格好の目標にされ、直線の上り坂地点でかわされてしまいました。
このレースや16有馬記念で感じた点ですが、上り坂の地点での反応の鈍さが少し気になります。G1勝ちの前走ジャパンカップでも、瞬間の反応だけでなく上り坂の影響もあり、直線序盤でキタサンブラックとの差が詰まらなかったのではないかという気がします。
もう一つ取り上げるのは16アルゼンチン共和国杯。これはスローの直線勝負。長距離の持続戦で実績を残していたので、こういった流れでは厳しいかと思っていましたが、12.4-11.7-11.1-11.4という上がりを先行ポジションから抜け出して快勝しました。L3~L2地点の加速地点では外から差してきたヴォルシェーブの方が勢いが上でしたが、L1地点で再度突き放す形で、この馬の持続力の高さを示したレースでした。
最速地点の11.1に対応できたのが少々驚きでしたが、この後の16ジャパンカップや17ジャパンカップを見ても、左回りだと鋭い脚が使えるのかもしれません。
有馬記念にむけたポイント
現状評価:△~消し
有馬記念で想定されるL5地点からの初動と、一旦コーナーで緩んでからのL2地点での再加速という流れは、この馬にとっては決して向いているとは言えません。
早めのスパート開始については、勝負どころの反応が鈍いこの馬にとってはありがたいですが、そこから一定のスピードで走りたいタイプなので、L2地点での再加速が厄介なことになりそうです。
また、直線の坂に不安があります。阪神大賞典勝ちもあるように決してダメではないのですが、16有馬記念や17阪神大賞典、東京コースでの直線入り口の反応をみても得意とは言えないでしょう。
さらに、左回りの方がトップスピードの質が高い傾向もあり、右回りの今回でジャパンカップほどのパフォーマンスを見せることができないのではという懸念事項もあります。
ここ2走の内容は高いパフォーマンスをみせているので、絶対能力が上がっているとは思いますが、前走で勝ったことで人気も上がるでしょうから、あまり割に合わないなぁと現時点では考えています。